一般社団法人IT人材育成協会

Association for IT Human Resources Development

banner05 2

何故OJL(オンザジョブラーニング)か
 ビジネス環境が激しく変化する中で、競争力のある製品やサービスを提供し、顧客から高い
 信頼を獲得するためには、現場第一線の組織や人材の能力向上が必須となっている。
 従来のOJTでは、この変化に対応することは難しい。
 変化に対応するためには、継続的な学習が必要である。
 学習は仕事場とは離れた場所に行かなければできないという事はない。
 毎日の仕事を通じて「学ぶ」ことが出来れば、即、実践力が高められることになる。
 学習の素材は「日々の経験」であり、学習は「日々交わされる会話や対話」を通じて行われ
 る。
 人は一人では成長できない。
 又、その術を持っている人は少ない。
 従って、チームや組織のメンバーとの対話やコミュニケーションを通して、教え合い、学び
 合うという学習する文化を醸成することでこれが可能となる。

OJLの定義
 OJLは座学で学習するのと異なり、毎日の仕事をしながら「どうすればもっと上手くでき
 るか、もっと早くできるか、もっとたくさんできるか」を学習し続けることである。
 OJLを実践するためには、以下のような方法で実践する。
  ①業務目標を同じくする10人前後のチームを編成する。
  ②スクラム的な仕事の進め方を基本とし、業務の進捗や対応が全員に見えるようにする。
  ③毎日、毎週のミーティングでの仕事の振り返り(reflection)の場が「学習の場」となる。
   対話を通じて互いに学び合い、教え合う文化を醸成していく。
   学習素材は自分やメンバーの「経験」であり、組織に蓄積された「知識・ノウハウ」で
   ある。
  ④上記の活動を主導するリーダを育成・配置する。
   その役割の一つはチーム内のコミュニケーションの活発化を促し、調整や合意形成など
   スムースなチーム運営を主導するチームファシリテーションである。
   もう一つは、日々の仕事の中から発生する事象から学習すべきことを抽し、メンバーの
   学びを支援するラーニングファシリテーションである。
 これらの二つの能力を持ったファシリテータをOJLファシリテータとして位置づけ、OJ  
 L推進の役割を担う人材として育成し、組織能力と人材の能力向上を図る活動をOJLと
 定義する。

OJL no kihon to sukimu to migaka reru noryoku

OJL o suishin suru sukimu

OJLによる効果
 ある企業のOJL実証から得られた効果
 チーム運営に関する効果
  ①コミュニケーションが活発化し、チームが活性化した。
  ②メンバーのモティベーションが向上し、目的達成意欲が向上した。
 メンバーの学習意欲に関して
  ①学習することに意欲的になった。
  ②他のメンバーの良い点を学ぶようになった。
  ③他のメンバーに知識を伝えるようになった。
  ④研修への参加意欲が増した。
 約1年の実績ではあるが職場の活性化、仕事や学ぶことへの前向きな状況が生まれている。
 職場のエンゲージメントが高まっているように見える。
 エンゲージメントは生産性を高め、働く意欲、成長する意欲、目標達成への意欲を向上させ
 ると言われている。
 組織の成長と人の成長が同時並行的に行われることになる。 

OJLが目指すもの
 一般的に次のように言われている。
 ・エンゲージメントをチーム内で行われる「社会的学習」や「協調的な交流」ととらえ、
  それが活発なグループの方が、生産性が高くなる傾向があると言われている。
 ・「社会的な学習」とは、グループでの経験や観察を通じて新しい考え方を学ぶことを意味
  し、それはやがて「行動規範」やその遵守を促す「社会的圧力」の形成につながっていく
  もの
 ・「協調的な交流」も、信頼感の醸成を通じて、他人との関係を重視する価値観を高め、同
  じく社会的圧力の土台になる。
  すなわち、結論として、「エンゲージメントは文化をつくる」事になる。
 OJL活動はチーム内の継続的な学習、活発なコミュニケーション、相互に信頼できる関係
 をつくることで、上記で述べられた「エンゲージメント」を高めることになる。
 活動から醸成される「文化」は、組織と個人が互いに成長を支援し合うことを最重要課題に
 位置付ける文化である。
 「OJL]は現場、職場の活性化を図り、個人も組織も同時成長できる仕組みを構築しよう
 とするものである。