一般社団法人IT人材育成協会

Association for IT Human Resources Development

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ueshima情報システム監査株式会社
上嶋 夏子(うえしま なつこ)氏

インストラクター、教育企画、コンテンツ開発
主な担当:Microsoft University認定トレーナー、
Windows関連、C言語・VB.NETおよびe-Learning・教材開発

 

 

低い目線

この職種を、なぜ担当することになったのでしょうか?
そしてこの職種は、どういう立場なのでしょうか?

人材育成を担当されている方の職種には、講師や企画、開発、運営など多くのものがありますが、今回は講師(インストラクター)という職種での話です。

「先生!質問です」
何年か研修を実施されている方は一度は呼びかけられたことのある台詞ではないでしょうか。
特に、新入社員研修を担当していると、2ヶ月間程ずっとそのように呼びかけられることも少なくありません。

この間の研修でもそのように呼ばれました。

実は私はこの呼び方が大変苦手なのです。不快に思われない程度に呼び方を変えてもらうこともあります。
理由は立場以上、相応しくないと考えていることと、目線が上がるのを防ぎたいからです。

何故、相応しくないと考えているのか

「先生」の語源は単純に年長者であることですが、現代日本の場合は「師範」に近い意味で使われます。つまり、お客様がサービス提供者である私に向かって、敬意を込めて下さっている、と捉えることもできます。
今は知りませんが、学校の先生のような指導をする立場ではありません。提供できる程度の知識を持っているのは当然のことと考えるからです。

目線が上がるとはどういうことか

研修受講者の中には進捗の良い方と悪い方が居ます。時間的な都合は当然ありますが、「知っていて当たり前」「理解できて当たり前」「このレベルになっているのは当たり前」という考えがどこかにあると、分からない方が何故分からないかに心を配れなくなってきます。
理解しているしていない、ではなく、心を配りにくくなってくる、思い込みが邪魔するようになってくるということです。そしてその「当たり前」という感覚は、自分の研修方法に自信が出る程、強くなってきます。

企業研修を中心としていると、受講者の知識も多く、然程目立ちませんが、偶にその心配りが思い込みに打ち消されていることに気付き、愕然とします。それがちょうど、ごく一般の方向けに実施したやはり「先生!」と呼ばれる研修でのことでした。

この思い込みの自力による解除はなかなか難しく、結局のところ、初心忘るべからずということですが、「先生」がこれらを助長しないような低い目線をもって務めなければならない、ということを改めて思わされた呼ばれ方でした。