一般社団法人IT人材育成協会

Association for IT Human Resources Development

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uemuraNRIラーニングネットワーク株式会社
上村有子(うえむら ゆうこ)氏

インストラクター、教育企画
主な担当:Oracle University認定コースインストラクタ
IT上級職育成カリキュラム策定など

 

 

1-3月は、年度末を迎える組織も多く、一年の総括を行い、来年度に向けての目標を立てる時期なのではないだろうか。私は例年、この1年を振り返り、自分の成長や収穫を棚卸しして現状を認識し、その上で、来年度の目標を決めるという手順を踏んでいるのだが、最近、コーチングを勉強する機会があり、目から鱗が落ちるような体験をしてしまった。

ご存知の方も多いと思うが、コーチングにおけるGROWモデルでは、Goal→Reality→Option→Willの順に、決意を固めていく。まず、目標(Goal)を定め、次に現状認識(Reality)する。目標と現状のギャップに注目し、その差を縮めるための打ち手を複数考える(Options)。そうして最後に、目標達成のため、決意を固める(Will)というものだ。実際はコーチングにおいても、Goal(目標)とReality(現状)との間を行きつ戻りつして、軌道修正しながら現実的なものに落としていくのだが、基本的に、現状認識(Reality)の前に、目標(Goal)を決めるのが大きな特徴だ。
自分の従来のやり方と、GROWモデルの違いを見てみよう。私の従来のやり方では、まず現状認識に取り組む。
例えば、
・今年一年で、新しい科目の講師担当ができるようになった。
・新たに○○の資格を習得した。
・コース実施後のアンケート評価の平均が○点を維持できるようになった。 など

過去の実績の洗い出しに一生懸命になり、それが一段落すると、私の場合、なんとなく自己満足して落ち着いてしまう。そして、次のステップに進んで、目標を立てる際、
例えば、
・来年は、担当領域を広げ、新しい科目の講師担当ができるようになる。
・○○の上位資格習得をめざす。
・アンケート評価の平均を○点アップさせる。
など、今年度の達成をベースにして、プラスアルファの向上を目指す形になりがちだ。自分が急成長しているときは良いのだが、成長が鈍ると、達成度も低くなり、その低い値が次の年への基準になってしまう。たとえ昨年実績の1.2倍に目標設定して精一杯頑張っているつもりでも、気づかないうちに、低いところで妥協をしてしまいかねない。

自分の現状をしっかりと認識するのは、誰にとっても欠かせないステップだ。が、それはそれとして、「自分のあるべき姿」や、「自分に期待されているレベル」をきちんと把握する方が、重要なのではないだろうか。

自分に何が期待されているか?
これは、「誰々が、自分に何を期待している。」というように、自分以外を主語にして考えることが求められる。より外側に視野を広げ、客観的な視点が必要になる。
・自分の所属する組織は、どの方向に向かおうとしているのか。
・組織の、品質や数値の要求レベルはどれくらいか。 その中で、
・自分が、何を達成しなければならいか。

外側から説き起こしていけば、自ず、組織の中での自分の位置づけが、浮き彫りにされる。私は結構、過去に執着が強い、また、たいてい「私は、」が主語であることに気づき、愕然としてしまう。「過去」より「将来」、「自分の興味」より「組織の関心」に焦点をあて、「来期の目標」を考えてみようと反省する今日この頃である。

以上